免疫学の必読医学書を4冊紹介する.
免疫学については,抗原や抗体といった個々のパーツを理解したうえで,自然免疫や適応免疫といった事象・概念を包括的にとらえることが大事である.
そのために,ぜひともここで紹介した医学書を最初から最後まで,読み通していただきたい.
Contents
『もっとよくわかる!免疫学 (実験医学別冊)』
初学者には最適な免疫学の入門書.また,初学者でなくとも,学び直しに堪えうる内容になっている.
免疫学を複雑にしている難解な分子メカニズムに戸惑うよりも前に,頭に叩き込んでおくべき基礎をきちんと説明している.
免疫学の基礎固めに役立つ一冊である.
①『免疫生物学』(原書第7版)
本書は,歴史的な免疫学の基礎概念から最新の知見までを詳細に盛り込んだ,医学生にとっては読みごたえのある教科書である.
分子生物学など,一部に高度な内容があるものの,図表が充実しており,全体としては理解しやすい内容となっている.特に,ELISAやフロ—サイト・メ卜リーといった免疫学的手法はわかりやすく解説しているので,しっかり学習してほしい.
また,付録の「免疫学研究者のための道具箱」は,免疫学を学ぶ医学生や研究者だけでなく,ほかの基礎医学分野においても頻繁に利用されている.
さらに,巻末のCD-ROMに人っている抗原等の一覧表も便利なので,勉強に役立ててほしい.
『エッセンシャル免疫学 第3版』
タイトルどおり,臨床免疫学において必須の基礎知識をコンパク卜にまとめた,学生にとって読みやすい教科書である.
さらに本書は,1人の執筆者で書かれているため,全体の記述に統一性があり,理論も首尾一貫していて理解しやすい内容になっている.
本書は,免疫学の基本的な原理・要素から,種々の病態や治療との関連までをしっかり理解できる内容になっている.
③『免疫学イラストレイテッド(原書第7版)』
本書は,オーソドックスな構成で組み立てられている教科書である.
世界各国で使用されている本書は,普遍的な免疫学の基礎が多くのイラストにより,わかりやすく解説されている.
各章末に掲載されている理解度のチェック問題をおこなうことにより,知識の定着をはかるとよい.
併読してほしい入門書
日本免疫学会が編集した絵本『からだを守る免疫のふしぎ』(羊土社)は,子どもから大人まで,楽しみながら免疫の仕組みがわかる内容となっている.
また,多田富雄監修・萩原清文著『好きになる免疫学』(講談社)は,初学者の入門書としては最適の1冊である.