保健・公衆衛生学の必読医学書を4冊挙げる.
特に、医学生またはレジデントには,臨床医学のみでなく,公衆衛生学などの社会医学や医学関連の学問に広く関心をもってほしい.
Contents
『NEW予防医学・公衆衛生学 (Nankodo’s essential wellーadvan)』
本書は、公衆衛生学や予防医学の歴史を理解しながら,更には新世代に最適な観点と先々の公衆衛生学・予防医学の新しい展開に対応できる内容となっている. 保健医療を多角的にまとめ上げる位置づけにある社会医学のアウトラインが見渡せる編集がなされていると同時に,コラムが随所に設けられ,最新の話題や解説が網羅されている. 覚えておきたい法規なども各章に載せてあり,最先端のデータはインターネット上などから取得できるように,参考になるウェブサイトなども紹介している。
『職業医学―理論と実践へのアプローチ (ライブラリ人間と医学 6)』
わが国の「産業保健・社会医学全般と職業性疾患」に関する考えが,慟く側の視点から統合され,体系立てて述ベられている.
臨床像からの職業性疾患の診断について書かれている世界でも数少ない書籍という点が,必読書にあげる理由である.
本書の著者は荒記俊一・東京大学教授である.
『産業保健マニュアル』(改訂6版)
本書は,急激な社会変化のなか多様化し,かつ細分化された「産業保健の概要」が,詳細な項目立てのもと,ポイントを絞って記述されている.
産業保健の実際において,概括的および個別具体的な知識の必要性が高まっていたにもかかわらず,これまでそのための簡潔かつ必要十分なマニュアルがなかった.
本書は,その要件が満たされている点が,必読書にあけたポイントである.
『医学がわかる疫学』
『職業医学—理論と実戦へのアプローチ』や『産業保健マニュアル(第5版)』と同様に,本書も「医学研究における疫学の基礎」に関する知識や情報が,とてもよくまとまっている.
疫学を学ぶうえでは,うってつけの書である.医学生には,ぜひとも本書を読んでいただきたい.
併読してほしい保健・公衆衛生学の関連書
公衆衛生学を学ぶ者として,医学書以外にもぜひ読んでおくべき書籍を2冊紹介したい.
1冊目は,吉田克巳・三重大学名誉教授の著作『四日市公害』(柏書房)である.
本書は,わが国の環境問題と疫学的因果関係論の理解に不可欠である.
2冊目は,産業医科大学教授を務める東敏昭氏監訳の『働く人の病』(産業医学振興財団)である.本書は,産業医学の不朽の名著である.