腎臓内科学の必読書を紹介する.
紹介する4冊の本は,いずれも腎臓について,腎臓病についての理解を深めるために非常に重宝する書籍である.
『講義録腎臓学』
腎臓に表れる基本的な症候を理解することから病態に近づき,診断・治療に直結するよう学ぶべき内容が,時系列で網羅的に記載された書籍である.
大きく3つのパートからなる.まず,「腎臓を深く知るための基本講義」からは症候と検査の基本を,「腎疾患を深く学ぼう」からは症候と疾患の関係を理解い病態形態学の基礎を復習してほしい.そのうえで,「各腎疾患」を学ぶと効果的である.
各項目の終わりにQ&Aがあり,重要ボイン卜が理解できたかセルフチェックできるよう工夫してある.
腎臓内科の講義に役立つ書籍を第一義として形態学(解剖学,組織学),病理学,生理学などの基礎医学で学んだ知識を臨床症候に結びつけることを目的とした書籍である.
極論で語る腎臓内科 (極論で語る・シリーズ)
臨床現場で頻繁に目の当たりにする質問に応じて病態生理から解決していく,臨床のセオリーに忠実の手法を学習できる本である.
腎臓病の分野は,循環器の分野とは違って,広範囲な臨床試験はさほど多くなく,決して派手なものではないが,病態生理が臨床に直接関係していることも珍しくない.
本書では,その辺りを実践の診療にどう関連付けられるかを明確にし,シンプルに核心を書くことで,わかりやすいものとなっている.
とっつきやすく面白く読めるので,深く考えずに読み進めるのに丁度良い.
しかし,最も有効なのは実際に臨床現場で目の当たりにしたとき.そのタイミングに読むとかなり明瞭に理解できるはずだ.
『図解腎臓内科学テキス卜』
本書は,腎臓病の病態から治療に至る過程が専門的すぎず,かつ簡単すぎないようにわかりやすく記載されている.
総論と各論に分けられ,解説が項目ごとに箇条書されているので,腎臓病の理解を深めるとともに,知識の整理に活用してほしい.図表が多用され,視覚に訴える工夫もなされている.
腎臓病学では医学生が理解しづらい書籍が多い現状を踏まえ,医学生の立場に立った入門書と専門書との中間的な内容となっている.
『専門医のための腎臓病学 第2版』
本書は,「腎臓病診療に役立つ実践の書」として,臨床に密着した立場から記載されている.
腎臓専門医をめざすほどの「ハイレベル」の書籍といえ,他書で理解が不十分な場合に活用してほしい.「小児科の視点」も加えられており,腎臓病学を総合的に学べる.