まずは消化器外科学を理解する際は,「臨床の基礎」をしっかり学ぶことが重要である.
上部消化器,下部消化器外科に関して,ぜひ読んでいただきたい必読の医学書はつぎの5つの書籍である.
Contents
『新臨床外科学(第4版)』
本書は,外科学領域で学ぶべき標準的な知識が,「専門医修練力リキュラ厶」に準拠して網羅的に書かれている医学生向きの教科書である.総論を含めた外科領域の内容を,広い範囲で学ぶことができる.
特に,ベッドサイド(臨床)時における患者の具体的な問題の解決に,本書はとても役立つ1冊である.
『STEP外科〈2〉消化器外科・小児外科』
本書は,『新臨床外科学』よりも簡潔で,それぞれの項目に要点が記述されているため,学生にとっても項目の整理がしやすく,とても便利な教科書である.
特に医学生は,本書から治療の流れを学ぶとともに,知識のポイント整理に役立ていただきたい.
『病気がみえるvol.1消化器』(第5版)
消化器の代表的な疾患,たとえば食道疾患や胃・十二指腸疾患・腸疾患などが,その臓器の構造から機能にまでさかのぼって,イラストや画像を交えてわかりやすく解説されている.
特に知っておきたいポイン卜はビジュアル化されており,目でみて覚えられるので,学生にとっても使いやすい書籍である.本書を読んで,消化器疾患の基礎を修得してほしい.
2016年に改訂第5版が出版された.
『カラー版診察基本手技マニュアル』
本書も『病気がみえるvol.1消化器』と同様,イラストや画像が豊富に使われ,診察や各種の基本手技がわかりやすく解説されている.
本書は,臨床の基本・基礎が学べるだけでなく,各種医療資格への対策や知識力アップ,患者さんとの会話,インフオームドコンセン卜などにも役立つ内容となっているので,ぜひ読んでいただきたい1冊である.
『腫瘍学 (講義録)』
消化器のみならず,広く「腫瘍」の基礎的知識について書かれ,解説も詳細になされている書籍である.
この『講義録腫瘍学』を理解することが、消化器外科学の理解にも繋がる.
教科書は,実際の臨床で起こる疑問を解決することに役立つ.単純に暗記しなければならない内容,たとえば血管や神経などの名称もあるが,それらもほかの知識と結びつけていくことで,より深い理解へとつながる.
さらに,きちんとした知識を身につけるには,断片的な知識だけでなく,「なぜこうなるのか?」「このような方法はダメか?」など,常に疑問と追求心をもち,検証していく姿勢が肝要である.