組織学・発生学の必読医学書を4冊挙げる.
いずれも組織学・発生学の理解を深めるには非常に有用な医学書である.
『人体組織学』(原書第2版)
ヒトの組織に基づいた組織学の教科書であり,主に医学部・歯学部の学生向けの書籍である.
ごく一般的な内容が記載されているので,全体の内容をしっかり学び,本書から最低限覚えておくべき知識を得ることが重要である.
『入門組織学(改訂第2版)』
初版から20年を超えて,医学生の教科書としても採用,高い評価を得ている初学者向け組織学のテキストである.2013年に改訂第2版が出版された.
美しい図説と細やかな解説文で説明する編集スタイルを踏襲し,この間の学問分野の進歩による新しい見識を採用する改編を施した.
巻末には,標本作製法と顕微鏡についての章を備え、より濃密な理解を獲得できる有用な書だ.
『Ross組織学』(原書第5版)
本書は,細胞の写真や図版を多用しながら,組織学と細胞生物学の理論が解説されている.
臨床の医師向けの非常に先進的な内容を含んでいるため,医学生やレジデントには少し難しいかもしれないが,まずはその「先進性」を学んでいただければと思う.
また,750点にも及ぶ図版,とりわけ組織の写真がとても美しく印刷され,かつ正確なので,理解の助けになるだろう.
『組織細胞生物学(原書第3版)』
細胞生物学的に組織学を見直した書籍で,ほかの分野にも広く向けたものである.
「病理学」を学ぶための「組織学」をつかみ取っていただきたい.「病理」の解釈にも有効であるので,医学生だけでなく,基礎医学の研究者や臨床医にも推薦できる1冊である.
基礎医学書を読む理由
学生時代には,必ずこのような基礎医学の教科書を読むことが必要である.それは解剖・生理・生化・病理を理解することが,結果として臨床への近道となるからである.
また,医学書以外にも時代の境目を歩んだ人たちの伝記あるいは物語を読むことをお薦めする.
なぜなら,そうした人物たちの人生や生き方などが,将来,医師となったときに直面するであろうさまざまな問題の解決に役立つからである.