糖尿病患者の急増にともない,代謝・内分泌内科医の需要が増加している.
代謝・内分泌内科は全身を扱う診療科であり,豊富な知識が要求される.
そこで,ここでは糖尿病・代謝・内分泌内科学の基礎づくりができる必読の医学書を3冊紹介する.
Contents
内科学(第11版) 【分冊版】
内科学のなかでも,特に代謝内分泌学は,生理作用を知り,病気の病態生理を知れば,おのずと理想的な治療法が決まってくる理論的な学問である.
本書は,まず生体の代謝内分泌制御に関するbasic scienceのOver viewが詳細に記載されている.
つぎに,代謝内分泌疾患の病態生理が分子レベルで,最後にそれらの情報に基づく,病気の診断や治療法が臨床レベルで記載・解説されている.
いまある内科学書のなかで,これほど各疾患について,その分子機序から理論的かつ詳細に書かれている書籍はない.ぜひとも,その点を踏まえて,代謝内分泌学の理解を深めてほしい.
内科学第10版
『STEP内科(代謝・内分泌)』
医学生は,上記の『内科学』を通読することが理想的であるが,時間をより節約して,代謝内分泌疾患の最低限の知識を理解するには,本書が適している.
本書は,分子レベルの事項に関しては,解説がかなり省略されているが,各疾患の病態がわかりやすく理解できるように,工夫されて書かれている.
学生が理解しやすい代謝・内分泌学の書籍としては,本書がもっとも理論的であるという声も多い.書を読むことで,疾患の病態と最低限必要な知識を修得できる.
『Simple Step 内分泌・代謝 (Simple Step SERIES) 』
『病気がみえるvol.3糖尿病・代謝・内分泌(第4版)』
上記の『STEP内科(代謝・内分泌)』と同じく,非常にスタンダードな書籍であるが,代謝内分泌疾患のイメ一ジをとらえたい人には,本書を薦める.
本書には,代謝内分泌の理解を助けるイラストが多用され,非常にわかりやすく書かれている.
講義や講演などでは,イラストが理解を深めるのに非常に役立つが,本書にはそのようなイラストがそろっている.ただ,本書はイラスト集であり,成書の補助的役割を果たすにすぎないこともお忘れなく.
日本の研究レベルはきわめて高く,臨床の教室としては,毎年異例なほど多くの論文が「Nature」「Science」「Cell」などに掲載されている.臨床医をしながら一流の基礎研究もしたい人は,代謝内分泌内科を専攻するのも一つの手である.